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「先生……」 |
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「何かね?」 |
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「本当にここのほうが授業がしやすいんですか?」 |
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「人間、慣れた場所のほうが、気分的に楽になるとは思わないかね?」 |
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「思いますけど、私、ここ全然慣れないんですけど……」 |
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「なに、慣れというのは時間の問題だよ。
私の授業が終わる頃には、ここで平然と紅茶を飲めるようになるだろう」 |
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(な、なりたくない……) |
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「さて、無駄話はこのくらいにして本題に入ろうか」 |
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「四時間目は揚羽編について説明するのだが、
遥君はこのルートに入ったことはあるかね?」 |
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「いえ、まだです」 |
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「ルートの入り方の見当は?」 |
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「名前から想像するなら、アゲハさんが関係してる気が
するんですけど……」 |
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「その通りだ」 |
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「でも、普通のユーザーさんには分からない情報ですよね。
揚羽編に入るまで、そういうルートがあることがどこにも
書かれてないんですから」 |
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「うむ、この揚羽編と、次の西館編は、ある意味偶然にたどり着く人が
ほとんどだろう。条件そのものは難しくないが、その条件が幼蟲編から
関係しているのでね」 |
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「そういえばレン先生が、揚羽編に入るためには、蛹蟲編の
【PrologueT】からスタートしてないといけないって言ってました」 |
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「そう、揚羽編に入るためには、それが大前提となる」 |
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「それ以外の条件は、蛹蟲編でアゲハさん寄りの行動を取っていれば
いいんでしょうか?」 |
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「その解釈で構わないよ。
上手く進めていけば、【休日の過ごし方U】が
選択できるようになるはずだ」 |
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「はい、今やってみて……アゲハさんと楽しい一日を過ごせました」 |
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「でも、これから先はどうすればいいんでしょうか」 |
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「【刻凍る果ての獣魔】を通過すると、【置き去りにした我が子】と
【レンからの選択肢】が選べるようになっているはずだ」 |
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「【レンからの選択肢】を選ぶと蟲使編に入っちゃうから…………」 |
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「うむ、揚羽編に行くためには、【置き去りにした我が子】を
選択する必要がある。その段階で条件が揃っていれば、
夢美君が現実逃避できるはずだ」 |
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「つまり、【振り払った現実】を選ぶということですね」 |
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「【振り払った現実】以降が、揚羽編となる。
スタート地点が【PrologueT】であることを気をつければ、
ルートの入り方はそれほど難しくはない」 |
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「まあ……条件が分かればそう思いますけど、
実際にプレイしてるユーザーさんには、これでも難易度高いと思います」 |
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「ゲームバランスというのは難しいものだね」 |
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「揚羽編は、全チャートマップ中、もっとも小さなマップだ。
当然、スロットの数もそれ相応しかないため、難易度は低いほうだろう」 |
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「具体的なポイントはどこなんでしょう?」 |
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「重要なのは、夢美君が蟲を遠ざけたかどうかだ」 |
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「【我が子と離れて】を通過したかどうか、ですか?」 |
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「うむ、どちらのルートがGOODENDかは君の目で確かめてほしい
のだが、分岐点となるのはその一つだけだ」 |
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「本当に簡単なマップなんですね」 |
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「もっとも、それで早々にコンプリートできるほど甘くはないがね」 |
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「あ、やっぱり……」 |
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「一応、気をつけたほうがいいのは、南 優斗君との関係だ」 |
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「優斗さんですか?」 |
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「揚羽編では、彼とデートしていないと選択できなくなるスロットが幾つか
存在している。コンプリートを目指すのなら、デートした状態でプレイ
したほうが無駄がなくて良いだろう」 |
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「つまり、蛹蟲編で【デート】を通過していればいいんですね」 |
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「その通りだ」 |
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「西先生、どうしても選択できないスロットがあるんですけど……」 |
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「うん、どれかね?」 |
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「【杏子のお見舞い】の右下にあるスロットです」 |
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「ああ、これは今は選択できないから無視してくれて構わんよ」 |
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「え、ええっ!? できないんですかっ!!?」 |
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「このゲームには、特定のイベント、またはエンディングを見なければ
選択できないスロットが幾つかあってね、これはその中の一つなのだよ」 |
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「そういえば、レン先生にも同じことを言われた気がします」 |
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「蛹蟲編には、特にそういったスロットも多く、たとえば夢美君の過去が
垣間見れる【夢美と杏子】【アルバイト採用】【今日から接客】、また
【優斗と史郎】は蛹蟲編をクリアすることで選択可能だ」 |
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「え、クリアってことは…………」 |
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「既に揚羽編をプレイしている遥君は、条件を満たしているということだね」 |
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「い、意地悪すぎます、その条件っ!」 |
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「蛹蟲編に戻ってみて……あ、ホントだ。選択できるようになってる」 |
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「このゲームの仕組みを理解してもらえたかね?」 |
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「じゃあ、さっきの【杏子のお見舞い】の右下にあるスロットの条件は
何なんですか?」 |
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「それについては、次の時間に説明するとしよう」 |
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「今はダメなんですか?」 |
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「ダメというわけではないのだが、次の時間に回したほうが
分かりやすいのだよ」 |
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「ううっ、早くイベント見たいのに……」 |
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「……君もだいぶこの雰囲気に染まってきたようだね」 |
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「このゲームだが、実は特定のエンディングを迎えることで
オマケ要素が追加されるようになっている」 |
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「オマケ要素?」 |
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「口で説明するより、実際にプレイしてみたほうが早いだろう。
まずはGOODENDを発生させてくれたまえ」 |
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「はい……揚羽編、クリアしました」 |
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「では、次にタイトル画面のGALLERYを選択してくれたまえ」 |
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「はい。……あ、あれっ!?」 |