インタビュー



『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』発売後トーク!!


和泉万夜
シナリオ担当
上田メタヲ
キャラクターデザイン・原画担当



発売後トークその2

上田メタヲ
 「それにしても、改めてプレイしてみると改善したい点は多いねえ」
和泉万夜
 「特にシステムに関しては、煮詰める時間があれば
  もう少し遊べるものになりましたからね」
上田メタヲ
 「研究のために『かま○たち○夜3』買ってきて金の栞までクリアしたのに、
  その成果を還元できなかった。遊んだだけじゃん、という」
和泉万夜
 「スロットに最新のイベントが記録されるのは一長一短でした」
上田メタヲ
 「どこを通ってきたか、混乱しやすくなってしまったからね」
和泉万夜
 「★をクリックすると、それに対応したシーンが見られるようにしたかった〜」
上田メタヲ
 「実際にプレイしてから気付いたからなあ、
  ちょっと作り直すには時間的に厳しかった」
和泉万夜
 「仕様書の段階で思考が行き届かなかった部分ですわ」
上田メタヲ
 「結局、これってどうだった? 
  最初は、シナリオを短縮化する案から出てきたシステムだったけど」
和泉万夜
 「その点については、半々くらいでメリットとデメリットがありました。
  必要なシーンだけ書ける反面、やっぱりプレイすると感情移入を阻害
  される人が多かったみたいで」
上田メタヲ
 「まあ、蟲愛のシナリオを単純なアドベンチャーで流したら、
  すごいテンポで流れていってしまう」
和泉万夜
 「本来必要な『溜め』のシーンをざっくりカットしてますからね。
  その結果、夢美と蟲クンのまったり生活も大幅に削られてるわけですが……」
上田メタヲ
 「まあ、それでも人気があるらしい事がすごいよな」
和泉万夜
 「今年のブラックサイクは、人外キャラ(*8)が元気です」

 *8:人気投票やアンケートをしなかったので正確には不明だが、
   おそらくゴア・スクリーミング・ショウで一番人気なのはゴアではないかと
   スタッフの間では予想されている。


上田メタヲ
 「ウチが作ってるの、一応美少女ゲームじゃなかったっけ?」
和泉万夜
 「そんなジャンルもあった気がします」
上田メタヲ
 「……俺も君もこの業界にいてはいけない人間な気がしてきた」
和泉万夜
 「ま、そんな細かくないコトは置いといて、とにかくシステムに関しては試行錯誤状態。
  最初に幼蟲編から作ったのですが、あちらこちらにその跡が……」
上田メタヲ
 「それは分かる気がする。妙に分岐が多めだし」
和泉万夜
 「完成してみると、スロット数がメチャクチャ増えました。
  もー、名前付けるのに苦労して苦労して(笑)」
上田メタヲ
 「アレ見て、ミニマップエリアをもっと縦長にデザインしてればよかったと後悔。
  あと、スロットの説明文作りも悲惨そうだった(笑)」
和泉万夜
 「そう! あれが辛かった! 自分でシナリオ書いてるんだから
  一日で終わらせてやるぜ〜とか思ってたら、全然進まないんだもん」
上田メタヲ
 「あの量、一日じゃ無理だって」
和泉万夜
 「書いてると、『●●●した夢美。しかし――――』とかって出だしが
  一緒になってしまって、アレコレ考えてバリエーション増やして」
上田メタヲ
 「最終的にどのくらい掛かったんだっけ?」
和泉万夜
 「一週間くらいかな? 毎日、そればっかりやってたわけじゃないけど」
上田メタヲ
 「大変だったねぇ」
和泉万夜
 「作業そのものもそうだけど、スロットの名前なんかは早く決めないと上田さんの
  レイアウト作業が止まるから、どっちかっていうとプレッシャーはそっちだったかな」
上田メタヲ
 「まあ、あれは当初思ってたよりも作業負荷は少なかったんだけどね」
和泉万夜
 「スロットの説明文は攻略資料とかに関係してくるから、
  やっぱり早めに仕上げないといけなかったし」
上田メタヲ
 「結局、台本出しまでのシナリオ作業の短縮化にはなったけど、
  最終的にはテスティングの手間とか結構掛かったね」
和泉万夜
 「掛かりましたね〜。シナリオの不整合とかよく出たし」
上田メタヲ
 「君が色々仕掛けを施そうとするから」
和泉万夜
 「ん〜、確かに優斗とは絶対デートするとか、アゲハは絶対出てくるとかすれば作る
  分にはだいぶ楽になったんですけど、それじゃあゲームをプレイしたときの面白味
  が減っちゃうかなと思ったんで」
上田メタヲ
 「まーね」
和泉万夜
 「それにほら、女の子が幸せになるようなルートとかも作ってあげたかったので」
上田メタヲ
 「ほう、たとえば……?」
和泉万夜
 「一例を挙げるならアゲハなんかは、登場させないルートを通った上で、
  過去に母親に手紙を書くことを勧めておくと、後にAnzUで友達と楽しく
  過ごしているシーンが見られます」
上田メタヲ
 「ふむふむ、それで?」
和泉万夜
 「いや、そんだけ(笑)」
上田メタヲ
 「それはアレか……このゲームに登場しないことが
  一番の幸せというやつなのか……」
和泉万夜
 「あえて否定はしないデス」
上田メタヲ
 「まあ、特にアゲハなんかは能力的に一般人の域を出なかったからなあ」
和泉万夜
 「ネタ的には、アゲハVS史郎のシーン(*9)とかもあったんですけどね〜」

 *9:当初、アゲハは巨大な蝶型の蟲を持っているという案があったが、物語の設定や専用の
   エフェクトが作れなかったため、基本的には一般人の位置付けになった。もっとも、スロット
    【メイドの土産】のシーンなので、どっちにしてもアゲハは負ける予定ではあった(笑)。

上田メタヲ
 「そのへんで削られたものは他にもいっぱいありそうだ」
和泉万夜
 「唯VS名無しの蟲使いとかもある。ボイスがいっぱいいっぱい
  だったんでこれも切った」
上田メタヲ
 「戦闘は、夢美以外だとレンとユーリアに絞った感はあるね」
和泉万夜
 「戦闘のイベント絵は作ってて良かったです。
  やっぱり画面演出やりやすかったですし」
上田メタヲ
 「それは何より」
和泉万夜
 「個人的には、神宿の派手さ(*10)を超えたかったんですけどね〜、そこは無念じゃ」

▼パッケージからは想像もできないシーン(笑)▼
かみさまの宿っ!
 *10:『かみさまの宿っ!』にあるラストの戦闘シーンのこと。
   上田メタヲがほぼ一日かけて演出したため、非常に派手でカッコ良くなっている。
   当時は実験的な意味も含めていたので、そこで得た結果を蟲愛で使えなかったのは残念。


上田メタヲ
 「まあでも、なんだかんだで楽しめたんだけどね。史郎とか」
和泉万夜
 「打ち合わせしてるとどんどんエスカレートしていって、
  現在の形になりましたね(笑)」
上田メタヲ
 「首が伸びても眼鏡が落ちないように耳で引っ掛けてるのがポイントです」
和泉万夜
 「そういえば、気に入ってるキャラとかいます? 物語を知ってる範囲で」
上田メタヲ
 「ん〜、アゲハかな。デザイン的な意味合いも含めて」
和泉万夜
 「そういえば、西の屋敷で本性表したシーン、
  ボイス付きで聞いてメチャクチャ気に入ってましたね」
上田メタヲ
 「うむ、あそこは実に良いシーンです。
  ああいう嫉妬深くて黒いキャラは大好き。……君はどうなの?」
和泉万夜
 「ん〜、やっぱ成蟲・夢美とか綾佳とかは気に入ってますね。
  もともと、成蟲の章が一番書きたかったところだし」
上田メタヲ
 「綾佳も遥も、最初のラフの段階から出来てるしね」
和泉万夜
 「ま、実際に執筆にとれた時間は(アダルトシーンを省いて)
  一週間程度でございましたが……。(;つд`)」
上田メタヲ
 「もっとボリューム出したかったね」
和泉万夜
 「今の本筋のルートもやっぱり足りないし、欲を言えば蛹蟲の章からも、
  もう二、三つ別の展開から成蟲の章に繋げたかったところです」
上田メタヲ
 「予定ではどれだっけ?」
和泉万夜
 「【死を超えた少女】とか【広い青空の下で】とかですね。
  どっちの夢美も気に入ってるし」
上田メタヲ
 「ふむふむ」
和泉万夜
 「あとは、開発中に『絶望編』と呼んでいた西館編の強気ルートかな。
  全然絶望してないから名前変えたけど」
上田メタヲ
 「なるほど」
和泉万夜
 「ちなみに絵的には、【人と蟲の狭間で】の子供達も好きですよ(笑)」
上田メタヲ
 「あれかっ! 人でもなくて蟲でもないとかいうワケの分からん指定がきたやつ」
和泉万夜
 「もー、イメージばっちり。ああいうのが欲しかったので、
  絵を見た瞬間これこれって思った」
上田メタヲ
 「まあ、それなら良かったけど」
和泉万夜
 「あれはよく見ると可愛いのですよ。手とか」
上田メタヲ
 「手はね(笑)」
和泉万夜
 「そうだ。手といえば、アンケートを見てるとミギーとかAR●Sとか色々届くな〜」
上田メタヲ
 「うーん、あの設定だと仕方ないのかな。デザインに関しては、寄●蟲には
  ならないようにしようと思って、ギーガー風のラインを狙ったんだけどなかなか;」
和泉万夜
 「開発が終わって、上田さんから一部の物語が似てると聞いたときは
  プチショックでした(笑)」
上田メタヲ
 「知らないんだっけ?」
和泉万夜
 「AR●Sは名前くらいしか聞いたことない。寄●蟲は、昔、歯医者の待合室で
  ちょっと読んだことがあるからミギーっていうのが何のことかは分かる」
上田メタヲ
 「歯医者かい(笑)」
和泉万夜
 「イメージとしては、どっちかっていうと風の●のナ●シカあたりが強かったですね。
  開発がだいぶ進んで、蟲クンが寄生することが決まったあたりから、3●3EY●Sに
  似てきたかな〜とは気付いたけど」
上田メタヲ
 「確かに死なないもんなあ」
和泉万夜
 「でも、まさか優斗側からこのネタが強まってくるとは思いませんでした(笑)」
上田メタヲ
 「他にもこの手の話ってなかったっけ?」
和泉万夜
 「んーと、アンケートで西先生の元ネタの話があった気がする。2パターン」
上田メタヲ
 「2パターン?」
和泉万夜
 「一つは……なんだったかな、小説か何かの人物ですごく似た人がいるらしい。
  名前もなのかな?」
上田メタヲ
 「ああ、ハ●バ●ド・ウェストの話ね」
和泉万夜
 「そう、それそれ。あれ? 上田さんは知ってる?」
上田メタヲ
 「うむ、要するに――――」

〜蟲愛から話題がそれるので中略〜


上田メタヲ
 「という感じかな」
和泉万夜
 「ほほう、なるほど」
上田メタヲ
 「知らんかった?」
和泉万夜
 「全然(笑)。ビジュアルから入ったらああなった」
上田メタヲ
 「んで、もう一つっていうのは?」
和泉万夜
 「ああ、そっちは本当にまんま、ドクターウェストってキャラクターがとあるメーカー
  さんのソフトにいたみたいで。調べたらそちらも科学者か何かでした」
上田メタヲ
 「偶然とは恐ろしいものです」



和泉万夜
 「次、オマケの話」
上田メタヲ
 「おうさ」
和泉万夜
 「最初は、本当にただのオマケのつもりで考えてたボーナストラック(*11)は、
  すごく豪華になりましたね〜。たぶん、過去製品で一番豪華」
上田メタヲ
 「みんな絵を描いてくるんだもんな〜。
  原画家が何も描かないわけにいかなくなった(笑)」

*11:全マップの達成率を100%にする事で選択可能になるマップ。
   ほぼ全てのスタッフのコメント、声優さんのフリートークなどが入っている。
   ちなみに、コメントの制作が二番目に遅かったのが和泉万夜で、一番遅かったのが
   上田メタヲである(笑)。

和泉万夜
 「みんながどんなコメント持ってきてくれるか分からなかったから、
  データを組み込む作業しながらニヤニヤしてしまった」
上田メタヲ
 「書いてくれる人はよろしく〜って伝えて、締め切りの一日前くらいまで一人くらいし
  かデータを入れてくれてなかったから、みんな忙しいからな〜と思ってたら締め切
  り日にどっと増えたのは驚いた」
和泉万夜
 「外注の方々からもコメントもらえたのは嬉しかったですね。
  ムービー担当のパリオさんは、絵まで描いてくれたし」
上田メタヲ
 「プログラマーのばぐねこさんは、小ネタ仕込んでくれたしね」
和泉万夜
 「あれは、さすがプログラマーだと思った。
  数日前から何かしてるな〜とは思ってたんだけど(笑)」
上田メタヲ
 「トランプのミニゲームも、新作を一つ追加してもらったし。
  ようやくジョーカーを使えるゲームが」
和泉万夜
 「こうして振り返ると、今回は何故だか本当に豪華だ。短期プロジェクトとは思えん」
上田メタヲ
 「次回予告もあるし……というか作らされたし」
和泉万夜
 「だってやることは決まってるんだし、
  買った人にだけのお得な情報って出したいじゃーん」
上田メタヲ
 「まあ、メルマガとマニア本(*12)で情報出してたしねぇ」

 *12:4月3日に発行したメールマガジンと、『MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜 DVD
   Special Edition』のオフィシャル特典である『マニア本』に、それぞれ『銃刀(GUNKATANA)』、
   またホワイトサイク新作の『式神』の情報が掲載されている。

和泉万夜
 「個人的には、今後も新作情報とかは仕込んでいきたいと思うのですよ」
上田メタヲ
 「やって損はないからね」
和泉万夜
 「本当は主題歌担当とか声優さんとか、そのへんも出したいところなのですが……」
上田メタヲ
 「それはまた、情報を出す時期を見てからってことで」
和泉万夜
 「ですね」
上田メタヲ
 「しかし、アレだ。こうやって対談をしてるわけだけど……」
和泉万夜
 「ほいほい?」
上田メタヲ
 「こういう時こそ、ユーザーさんの質問に答える絶好の機会じゃん。何かないの?」
和泉万夜
 「ユーザーさんからの質問ねぇ。……『ファンディスクはまだですか?』」
上田メタヲ
 「いや、それはちょっと;;」
和泉万夜
 「もう一度この作り方したら今度こそ死んぢゃう(汗)」
上田メタヲ
 「蟲愛そのものを短期間で作ったからね。これ以上短期間で作ると
  クオリティと体力を保てないよ」
和泉万夜
 「じゃあ、本編以上に時間をかければいいじゃない」
上田メタヲ
 「どんなファンディスクだ、それは(笑)」
和泉万夜
 「まあ、実際にやるとしたら、本編の半分以下で仕上げないと
  いけないですからね〜」
上田メタヲ
 「うーん、ぶっ倒れること間違い無しだなあ」
和泉万夜
 「はうーっ。私、今年はもう二本出したぞぉーっ」
上田メタヲ
 「俺も二本出したぞーっ」
和泉万夜
 「次回作はもう進行してるし、ファンディスクは今のところは予定無しですね。
  ネタとしてはよく使ってしまうけど」
上田メタヲ
 「うーん」
和泉万夜
 「まあ、そんないっぱいネタがあるわけじゃないし〜」
上田メタヲ
 「書けなかったところ、いっぱいあるんじゃないの?」
和泉万夜
 「あるにはあるけど、それがファンディスクの仕様とマッチするか
  どうかは分からんですもん」
上田メタヲ
 「じゃあ、いっそ短編集で。蟲クンの『はじめてのおつかい』とか」
和泉万夜
 「そういうのを書くほうが難しいの(笑)」

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