インタビュー



『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』発売後トーク!!


和泉万夜
シナリオ担当
上田メタヲ
キャラクターデザイン・原画担当



発売後トークその1

上田メタヲ
 「うお、すげぇ……(部屋に入ってくるなり)」
和泉万夜
 「今、こーなってマス(既に部屋に待機)」

どど〜ん!

上田メタヲ
 「今日は対談ということなんですが、周り箱だらけじゃん」
和泉万夜
 「積み重ねられてタワー状態です」
上田メタヲ
 「まあいいや。話をする分には支障はないし」
和泉万夜
 「ですです。とにもかくにもお疲れ様でした」
上田メタヲ
 「お疲れ様でした。玉響(*1)終わったーーっ!」
和泉万夜
 「そっちかいっ!」

 *1:姉妹ブランド『パルミエ』が2006年11月24日に発売した製品。
   出荷直前だったため、ミーティングルームが箱で埋め尽くされていた。
   ちなみに、和泉万夜が前半時期、上田メタヲが後半時期のスクリプトを担当している。

上田メタヲ
 「だって、つい最近までやってたし〜」
和泉万夜
 「ホントに暇と無縁の人っすね」
上田メタヲ
 「いや。そうでもないよ。適当にさぼりながらちんたらと。そっちは?」
和泉万夜
 「部屋を掃除した」
上田メタヲ
 「おお、やっとすっきり」
和泉万夜
 「足の踏み場もなくなった」
上田メタヲ
 「最後までやれよ……」



和泉万夜
 「さて、この対談中はオフィシャルサイトで人気投票をやっているわけですが……」

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上田メタヲ
 「状況はどんなもんですか?」
和泉万夜
 「途中経過、こんな感じです」
上田メタヲ
 「む」

〜データ観覧中〜

上田メタヲ
 「こういう順位か……」
和泉万夜
 「実は全体的に予想外。特にこのへん……」
上田メタヲ
 「このへんはなぁ、まさかこんなに強いとは……」
和泉万夜
 「ちなみに寄せられてるコメントはこんな感じ」
上田メタヲ
 「成蟲・優斗、ひでぇ(笑)」
和泉万夜
 「普通人なのに、レンや西先生を抜いて、現在ぶっちぎりのネタ要員。
  原因は、やはりあの顔にあるものと考えられます」
上田メタヲ
 「いや、骨格変わったのはなんとなくで」
和泉万夜
 「美弥香とかも言われてます。老け過ぎだって(笑)」
上田メタヲ
 「……ゴア・スクリーミング・ショウ(*2)の時は熟女が足りないって
  お叱り受けたから、はりきったのに」
和泉万夜
 「成蟲の章では、逆の要素が足りないという意見が多いようです」
上田メタヲ
 「綾佳がいるじゃん」
和泉万夜
 「だから、綾佳は出番の割には人気高いみたいですよ」
上田メタヲ
 「恐るべし爺少女」
和泉万夜
 「……とか話してる間に、また投票のメールがくるし」
上田メタヲ
 「メールボックスがすごい事になってる」
和泉万夜
 「ぶっちゃけ大変デス。マイブラ(*3)の時とは比べ物にならん」

 *2:『ゴア・スクリーミング・ショウ』のこと。
    上田メタヲがメインとなってプロジェクトを担当した。


 *3:『MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜』または、
    『MinDeaD BlooD 〜麻由と麻奈の輸血箱〜』のこと。
    2004年にそれぞれ一回ずつ人気投票が行われている。


和泉万夜
 「売り上げをもっと考慮して予測するべきでした」
上田メタヲ
 「まあ、嬉しい悲鳴ってことで」
和泉万夜
 「本数聞いたときはホッとしましたからね〜」
上田メタヲ
 「したね〜」
和泉万夜
 「この調子でいけば、ゴア・スクリーミング・ショウに追いつくのも夢じゃないですよ」
上田メタヲ
 「そういやアレ、今年発売だっけ。もう、何年も前の出来事のようだ」
和泉万夜
 「アンケートではゴアから入った人も見かけますし、今年のブラックサイクは
  結構新規のユーザーさんが増えたかもしれないですね」
上田メタヲ
 「そうだといいね」
和泉万夜
 「実際、発売から一ヶ月経ったわけですけど、気分としてはどんなもんです?」
上田メタヲ
 「んーむ、実はあんまり実感が湧かないというか、絵以外は蟲愛に
  集中することができないまま終わってしまった感が強いかも」
和泉万夜
 「まあ、銃刀の作業と平行でしたからね」
上田メタヲ
 「それもあるけど。始まってすぐはMDBのDVD(*4)もあったから」

 *4:『MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜 DVD Special Edition』のこと。
    上田メタヲが全体的な雑務を担った。

和泉万夜
 「結構大変でしたね、あれ(汗)」
上田メタヲ
 「追加要素が声だけでも、一本作ることには変わりないから(汗)」
和泉万夜
 「まだ、男ボイスほとんど聞けてないよ。げふげふ」
上田メタヲ
 「お疲れさん。で、蟲愛だけど、原画は指定待ちだったけど、
  シナリオのほうが取り掛かりは苦労したんじゃない?」
和泉万夜
 「ううむ、神宿(*5)が終わった直後イキナリでしたから何もなかった」

 *5:ホワイトサイク第2弾の『かみさまの宿っ!』のこと。
    和泉万夜がメインとなってプロジェクトを担当した。


上田メタヲ
 「君はここ1、2年の間に何本作っている……」
和泉万夜
 「マイブラ→輸血箱→時の回廊→異聞録→夢幻廻廊→ゴア→戦カケ→神宿→
  蟲愛、他姉妹ブランドのほうを2本くらい?」
上田メタヲ
 「シナリオかスクリプト、もしくはそれ以上の何かに関わってるな」
和泉万夜
 「先生、こんなに働いてるのにちっとも楽になりません」
上田メタヲ
 「仕様です」
和泉万夜
 「酷いや。(;つд`)」
上田メタヲ
 「プロジェクトが始まったのいつだっけ?」
和泉万夜
 「んと、4月14日に急遽やることになって、その後二人で打ち合わせ。
  企画とキャラデザは一時間くらいで済ませたはず」

▼二人で話しながら一時間くらいで描いた初期ラフ▼
初期ラフ
もう少し大きな画像はこちら(別窓)>>

上田メタヲ
 「あの時の希望は9月発売だったんだよな」
和泉万夜
 「9月でしたね〜。さすがに厳しかったから、もう一ヶ月伸ばしてもらったけど」
上田メタヲ
 「9月ってことは、マスターアップは8月、実質制作期間は……
  なんて無謀なプロジェクトなんだ」
和泉万夜
 「マイブラDVDと、どっちが先にやることになってたんでしたっけ?」
上田メタヲ
 「忘れたけど、発売時期から考えるとマイブラが先じゃ?」
和泉万夜
 「あー、そっか。4月だと既に始まってるか」
上田メタヲ
 「なんか話が愚痴っぽくなってきたな」
和泉万夜
 「いやまーそれもあるけど(笑)、蟲愛をやり遂げられたのは一つの自信にはなり
  ましたよ。今だから言えるけど、マイブラ輸血箱と同じくらいの時間で倍の規模の
  ものを作れたわけだから」
上田メタヲ
 「そんなもん? そんなもんか……」
和泉万夜
 「つか、マイブラ自体は上田さんがネタを2年間温めてたもん。
  その差も埋めて今回のスケジュールでやり遂げられたんで」
上田メタヲ
 「開発期間と売り上げって一致しないね」
和泉万夜
 「いや、今回は販促も色々やったし方法変えたから(汗)」
上田メタヲ
 「描き下ろしがいっぱいありました。マスターアップ直前でも何か描いてました」
和泉万夜
 「ぶっちゃけ、蟲愛のシナリオってどこまで知ってます? 全部は知らないっしょ?」
上田メタヲ
 「テストも付き合えなかったから……この前、家で遊んだ。
  幼蟲編で殺されまくったからオフィシャルサイトの攻略を見た」
和泉万夜
 「待てや(笑)」
上田メタヲ
 「んで、成蟲編までは未だ行けずに、蛹蟲編で止まってる」
和泉万夜
 「要するにイベント絵の指定のときに見せたシナリオ以外は、
  ほとんど把握してないのね」
上田メタヲ
 「イベント絵を描くときに、読んだ分は覚えてるよ」
和泉万夜
 「つってもアダルトシーンが大半だから、ストーリーは分からんっしょ」
上田メタヲ
 「まあ、話の中で聞いたのもあるし。ストーリー側の絵もあったし」
和泉万夜
 「見てないシーンとかあるでしょ。ユーリアの最終兵器とか」
上田メタヲ
 「あー、見てない」
和泉万夜
 「これこれ……」

〜ゲームプレイ中〜

上田メタヲ
 「気のせいかマイブラの爆発エフェクトが見えた気がした」
和泉万夜
 「演出の時間を確保できなかったんだもーん」
上田メタヲ
 「戦闘のエフェクト欲しかったなぁ」
和泉万夜
 「私は蟲を描くスタッフが欲しかった。ミズタ(*6)さんが描いてくれるって
  言ってたけど、彼は忙しかったから」

 *6:『EXTRAVAGANZA 〜蟲愛でる少女〜』では、背景を担当。
    他にもシステムグラフィックの作成、またカッコイイ演出をする技術を持っているが、
    今回は開発中期に別プロジェクトへ移動した。
    余談だが万夜と同じ年で、よく愚痴を聞いてくれる聞き上手な人(笑)。


和泉万夜
 「蟲愛の背景、2ヶ月くらいで描いてくれたよ」
上田メタヲ
 「君がシナリオ膨らませすぎるから……」
和泉万夜
 「背景数が倍になりました。スイマセンスイマセン。(;´д`)」

▼背景の数をまとめた資料▼
背景数資料
もう少し大きい画像はこちら(別窓)>>

上田メタヲ
 「予定では半分だったっけ?」
和泉万夜
 「です。開発初期の報告会議で、シナリオ完成率600KBで50%とか言ってたん
  ですけど、めっちゃ大嘘つきになってしまった」
上田メタヲ
 「イベント絵は割り振り次第だけど、背景は無いとそのシーンが作れないからねぇ」
和泉万夜
 「むう、ミズタさんには今度何か奢っとこう。
  ……と、ここで言ってることに気付いたら奢っとこう(笑)」
上田メタヲ
 「時期的にはいつが大変だった?」
和泉万夜
 「ん〜、作業的には7月が一番大変でした。ほぼ丸一日シナリオを書いて
  ましたから。アダルトシーンを、朝に一本、昼に一本、夜に一本とか」
上田メタヲ
 「マイブラの時にも同じような話を聞いた気がする」
和泉万夜
 「ただ、精神的には8月に入って台本出しをするときに、コマンド打ち(*7)が半分しか
  終わらなくて、その時期は完成させられないかも、とビクビクしました」
上田メタヲ
 「8月って、マスターアップまで二ヶ月近くあるじゃん」
和泉万夜
 「これでもチキンハートなのよ」

 *7:シナリオテキストに、立ち絵や背景のファイルネーム、座標などを打ち込んでいく作業のこと。
    これをしておくと、後々の作業がとても楽になる。


和泉万夜
 「上田さんが一番大変だった時期っていつですのん?」
上田メタヲ
 「やっぱりマスターアップ直前かなあ。今回は細かいミスを連発して、
  それで思ったより時間を食った絵が結構あった」
和泉万夜
 「差分のミスですね」
上田メタヲ
 「美弥香のシーンとかさ〜、途中から正の字の一部が欠けてるとか……
  勘弁して(涙)。いや、俺が悪いんだけど」
和泉万夜
 「まさか、あんな事態になるとは……(汗)」
上田メタヲ
 「体に文字描くだけだから、楽な差分だと思ってたでしょ」
和泉万夜
 「ごめん。思ってた」
上田メタヲ
 「いや、ミスをしなければそうなんだ……ミスをしなければ…………」
和泉万夜
 「そういえば、今回は差分の記録更新しましたね」
上田メタヲ
 「最大59枚だっけか。よくやったもんだ」
和泉万夜
 「プロジェクトをスタートさせた頃は、こんなに豪華になるとは思ってませんでした」
上田メタヲ
 「イベント絵の総数はもっといけると思ってたんだけどね。
  よりによってエンディングに絵が無いという異常事態まで」
和泉万夜
 「うーむ、あと一週間あれば、『その十五年に決着をT』には付けられましたね。
  一家団欒ドライブの絵。後部座席にちょこんと座る蟲クンがイメージでした(笑)」
上田メタヲ
 「確か杏子の絵と天秤にかけたんだっけ」
和泉万夜
 「そう。最後の一枚ってなったとき、『杏子の末路』にも絵がなくて……考えた末、
  このゲームはまずアダルト性が第一だ、ということで」

▼『その十五年に決着をT』と戦った(笑)最後のイベント絵▼
杏子の末路

上田メタヲ
 「間違えてラフだけは描いてたからね」
和泉万夜
 「杏子の乱交のシーンでルートを終わりにする手もあったんですけどね、
  コンセプトからズレたら意味がないし」
上田メタヲ
 「まーねー」
和泉万夜
 「それで言うなら、個人的には『森に溶けて』も絵がほしかった」
上田メタヲ
 「あのルートはクロワッサン、じゃなくて蟲喰う立ち絵で限界でした;;」
和泉万夜
 「あれも無理いって追加してもらいましたね、確か(汗)」
上田メタヲ
 「まあ、あれはそんなに大変じゃなかった。半裸だし」
和泉万夜
 「やっぱ服あるほうが時間かかるのね。……AnzUの制服とか」
上田メタヲ
 「あれは、最初にゴアで出てきたメタルカフェだって君が言ってたじゃん」
和泉万夜
 「うぐぅ」
上田メタヲ
 「立ち絵を仕上げて背景見てみたら、モダンなジャズ喫茶になってたのは
  どういうわけですか先生」
和泉万夜
 「し、仕様です」
上田メタヲ
 「バグだろ」

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