【冬萌】
「あああ! はあっ、はあっ……!」
冬萌の手ですでに果てそうになっていた俺のものは、
彼女の中に包み込まれて限界を迎えていた。
【司颯】
「ぐうっ……んんっ!」
【冬萌】
冬萌の言葉を待つまでもなく、俺の股間はいよいよ限界だった。
彼女の腰の動きに合わせて搾り取られるような快感の中、
俺はもう何も考えられなくなっていた。
【冬萌】
「はあっ、はあっ……さあ、イキなさい──!」
冬萌の内側がきゅうっと俺のものを締め上げる。
もう限界だ……。
そして、冬萌の中で果てようとしたその刹那──。
【司颯】
「あ……」
不意に胸が詰まり、限界まで高まった射精感が一気に萎んで消えてゆく。
夢うつつの快感の中にいた俺には、一瞬、
自分の身に何が起きたのかわからなかった。
動かない体でおそるおそる自分の胸に眼をやると、
そこから一本の太刀が生えていた。
……いや、生えていたのではない。
冬萌の太刀、黒龍がちょうど俺の心臓の上にに突き刺さっていたのだ。
不思議と痛みはなかった。
ただ、急速に体温が下がってゆく感覚が全身を駆け抜ける──
それは黒龍に気を奪われたあの時と同じ感覚だった。
【司颯】
「あ……あ……っ」
胸に突き刺さった太刀は、しっかりと冬萌の手に握られていた。
彼女が俺の胸に黒龍を突き刺したのだ。
【冬萌】
「ふふっ……残念ね。最後にイクことができなくて」
妖艶な微笑みとともに冬萌が俺を見下ろす。
しかしその瞳は憐憫とも軽蔑ともいえない冷たいものだった。
|
|