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其の壱  其の弐  其の参

【冬萌】
 「あああ! はあっ、はあっ……!」

冬萌の手ですでに果てそうになっていた俺のものは、
彼女の中に包み込まれて限界を迎えていた。

【司颯】
 「ぐうっ……んんっ!」

【冬萌】

「はあっ、はあっ……そろそろ本当にイキそうね……
いいわよ、そのままイっても……んはあっ!」

冬萌の言葉を待つまでもなく、俺の股間はいよいよ限界だった。
彼女の腰の動きに合わせて搾り取られるような快感の中、
俺はもう何も考えられなくなっていた。

【冬萌】
 「はあっ、はあっ……さあ、イキなさい──!」

冬萌の内側がきゅうっと俺のものを締め上げる。
もう限界だ……。
そして、冬萌の中で果てようとしたその刹那──。

【司颯】
 「あ……」

不意に胸が詰まり、限界まで高まった射精感が一気に萎んで消えてゆく。
夢うつつの快感の中にいた俺には、一瞬、
自分の身に何が起きたのかわからなかった。
動かない体でおそるおそる自分の胸に眼をやると、
そこから一本の太刀が生えていた。

……いや、生えていたのではない。
冬萌の太刀、黒龍がちょうど俺の心臓の上にに突き刺さっていたのだ。

不思議と痛みはなかった。
ただ、急速に体温が下がってゆく感覚が全身を駆け抜ける──
それは黒龍に気を奪われたあの時と同じ感覚だった。

【司颯】
 「あ……あ……っ」

胸に突き刺さった太刀は、しっかりと冬萌の手に握られていた。
彼女が俺の胸に黒龍を突き刺したのだ。

【冬萌】
 「ふふっ……残念ね。最後にイクことができなくて」

妖艶な微笑みとともに冬萌が俺を見下ろす。
しかしその瞳は憐憫とも軽蔑ともいえない冷たいものだった。