ベッドの上に、どさっと身を投げ出した――――。
瞬間。
むにゅっ。
……右手に、なにか異様な感触。
【司颯】
「え……? むにゅ、って……?」
俺は掛け布団の下にある『なにか』へ向かって、おそるおそる手を伸ばした。
……やわらかい。
そして、あたたかい。
なんだ?なんなんだ、この感触。
え、あ、いや、ひょっとして。
まさか……。
跳ね起きた。 その『なにか』をつかんだまま。
眠気がいっぺんに消し飛んだ。
掛け布団を、勢いよく引っぺがす。
と、そこには…………。
やわらかく、あたたかい感触のもの。
それは……女の子の乳房だった。
そう、俺は。
その子のオッパイを鷲掴みにしていたのだ。
……月明かりに照らされて、つややかな黒髪がうねっている。
つぶらな瞳が、怯えた小動物のようにまたたきもせず、俺をじいっと見つめている。
古風で雅やかな……それでいて、あどけなさを残した顔立ち。
……どこか見覚えのある、なつかしい顔だった。
だが、今は。
そんなことを考えている場合ではない。
――夢か?
乳房をつかんだままの手を開閉してみる。
【司颯】
「う……っ………………」
本物だ。
弾力のある乳房が、指を押し返してくる。
もみゅっ。
もみゅもみゅもみゅっ。
やっぱり、夢じゃない。夢なんかじゃない。
女の子は。
あまりのことに硬直して、言葉も出ないみたいだ。
だが、俺の方は…………。
【司颯】
「う……うわああああああああああああああああああ
あああああああああああっ!!?」
ついに絶叫した。
悲鳴をあげた。
我ながら情けない喚き声だった。
……ていうか、悲鳴をあげるのは俺かよ、という話はあるんだけど。
【司颯】
「なっ、なっ、なっ、なんじゃこりゃあああああああ
ああああああああああああッッッ!!??」
我もなく、あわてふためいた。
度を失っていた。
……なんで?
なんで女の子が、俺のベッドに寝てる!?
いや、そもそもこの子は――だれなんだ!?
【瑠璃】
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