ギャラリー
 

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其の壱 其の弐

【音美】
 「おー、よちよち。怖くにゃいからね〜♪」

木の上に、音美がいた。
ここからだと可愛らしいパンツが丸見えだ。
……今時、イチゴ模様とはね。

【司颯】
 「あいつ――なにやってんだ、あんなとこで?」

【架威】
 「あぁ、なんか猫がいるんだってよ」

【司颯】
 「猫――あぁ、またか」

俺は納得した。
ったく、音美ときたら、猫にはからっきしヨワいのだ。
道端で野良猫に出くわそうものなら、たちまちしゃがみこんで手なずけようとする。
いや、あれは手なずけようとしてるってより――
『交信』でもしようとしてるんじゃないか?
それくらいフレンドリーに接近していくのだ。

【司颯】
 「しかし、なんで木の上なんかに?」

【架威】
 「それがな、あの猫、どうも木の上に登って、下りれなくなっちまったみてぇだぜ」

【司颯】
 「ふーん」

……確かに。
音美は太い枝に乗っかって、しきりに手招きをしている。
その対象は、灰色の毛に虎縞模様の仔猫だった。

【仔猫】

 「ミャウ〜、フニャァ〜」

見知らぬ音美を警戒しているのか、じりじりと後退りしている。
そのため、あと少しで枝から転がり落ちてしまいそうだ。

【音美】
 「ほ〜ら、危ないでちゅよ〜、落っこっちゃいまちゅよ〜、こっち来なちゃ〜い♪」

文字通りの猫なで声である。
……どうして猫好きというのは、猫に対して赤ちゃん言葉を使うんだろう。
保護してやりたい、思いきり可愛がってやりたい――
という意識の表れなんだろうか。

【仔猫】
 「ウニャッ、フウーッ」

猫は背中を丸くして、毛を逆立てている。
音美のやつ、猫が怯えてるってことに気づいてないんだろうか。
ったく…………!

【音美】
 「さ、怖がらないで、こっち来ましょうね〜?」

音美はしきりにおいでおいでと差し招くが、仔猫は警戒をゆるめない。
やむをえず、音美は仔猫がいる枝の先の方へと移動しはじめた。
ゆっくり……ゆっくり…………
もちろん音美は下界にいる俺にパンツが見えていることなど、
気づいてもいないのだろう。