かぐや
「うわっ!?」
ひょいっと、かぐやの身体を両腕で抱え上げ、態度
で答えを示す。
公博
「チームメイトの怪我は同じチームメイトである、
俺がカバーする。これ、常識かと思われるが?」
未来
「なるほど。道理といえばその通りか」
薄っすらと笑みを浮かべ、どことなく嫌らしさを感
じさせるが、納得はしてくれたようだ。
かぐや
「お、おい、やめてくれ公博。こんなところで、こんな……」
公博
「断るよ。俺の失態を拭ってくれたかぐやに、出来
ることなんて高が知れてるんだから」
大衆が押し寄せる真夏の海辺で、このような真似を
されては良い見世物になってしまうが、そこは我慢
してもらう。
さやか
「何言っても無駄よ、それには。自分の主張は何が
あっても曲げないんだから」
公博
「お前に負けない程度には、頑固ですんで」
かぐや
「し、しかしだな、これは……」
選りにも選ってこの体勢は、と文句をつけたいのは
容易に見て取れる。が、今更運び方を変える気は無
いし、そもそもこれが一番楽だと思ったから、俺は
選択したんだ。
公博
「やっぱ軽いな、かぐやは。こりゃ、さやかもつむ
じも肥満児に思えちまうよ」
さやか
「んなぁ!?」
つむじ
「にぃ!?」
鈴
「いくらなんでも比べる相手が酷過ぎるよ、兄貴っ
てば……」
あながち他人事でもないせいか、複雑な顔を見せる鈴。
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