さやか
「はぁ、はぁ……」
服も髪も身体も、全部びしょ濡れ。
それでも私は、走ることを止めようとはしなかった。
止まってしまったらその瞬間、何もかもが駄目になり
そうだったから。
さやか
「はぁ、はぁ……っ!」
見慣れた家屋のすぐ前を通り掛ると、これまたよく見
知った顔があった。
その顔を一目見た瞬間、私は無我夢中で走り寄った。
さやか
「は、は、はぁ……っ」
鈴
「きゃっ!? な、何よもう……って、冷たっ!?
誰? こんな悪戯するのは……って、さや姉?
ど
うしたの!? そんなびしょ濡れで!?」
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