緊張感が緩み、注意力が散漫になっていたのか、俺は
すぐ横に立っていた一人の学生とぶつかってしまう。

???
「あ……」

公博
「おっと。……大丈夫か?」

一般の女の子と比べても明らかに華奢だと見て取れる
少女は、平均的な上背を持つ俺に吹き飛ばされるよう
な形でよろよろと後退した。

危うく尻餅をつかせてしまいそうになったが、直前で
どうにか右腕を背中に回して支えた。

???
「……」

公博
「大丈夫……か?」

???
「……」

何を尋ねても、うんともすんとも言わない目の前の少
女。……俺、何かやばい事しちまったのか?