ギャラリー
 

CG
其の壱 其の弐

どこか妖艶で冷たい視線の女性がひとり、蒼い月を背にたたずんでいた。
長い黒髪を風になびかせる姿が凛然として美しい。
その、顔は…………

【司颯】
 「か……華原……先輩……?」

茫然となった。

なぜだ?
なぜ、華原先輩が……俺の部屋の……窓の外に……?

いや、はたして彼女は華原先輩なのか?
いつも学校でニコニコとしている先輩の表情は、そこにはなかった。

【???】
 「……邪魔したかしら?……」

華原先輩――の顔をした女性は、手に弓のようなものを持っていた。
――あの弓で、水の『矢』を射たのだろうか?
だが……その弓は、実用になるとは思えなかった。
弦が張ってなかったからだ。

【司颯】
 「あんた……先輩じゃないのか? だれだ!?」

【???】
 「―――私は、北辺の玄武神に仕える巫女、水菜」

【司颯】
 「え……み、水菜……?」

バカな。
どう見たって華原先輩じゃないか…!

いや……本当にそうだろうか……?

水菜と名乗った彼女の冷ややかな表情は、確かに華原先輩とは別人のものだ。

【水菜】
  「気を抜きすぎよ、昂月司颯。
今、この街はとても不安定になっているというのに……」

水菜は、格下の者をとがめるような口調でいった。