その姿は、とても神々しかった。
背中に、白き翼を生やしている。
それは正に、天使そのものだった。
【夏希】
「春奈……」
しかしその姿は、紛れも無く春奈だった。
彼女は『アンジュ』を身に纏い、中空に漂っている。
とても神秘的な、その姿。
まるで、天空から舞い降りてきたばかりのように。
まるで、地上を見守っている女神のように。
春奈は、ゆっくりと地面へ降りてくる。
それと同時に、翼が消える。
【春奈】
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
そして、僕に駆け寄る。
その様子は、紛れも無く僕の妹だった。
【夏希】
「春奈……今、翼が……」
【春奈】
「あ……うん。これは『アンジュ』の特殊機構なんだよ」
【夏希】
「特殊機構?」
【春奈】
「力を送り込むことによって、翼状のパーツを開放し、
それによって飛ぶことが出来る」
【春奈】
「そういうものなんだよ」
【夏希】
「……」
僕は、絶句していた。
その美しさに、見とれていた。
それはまるで、夢の世界のようで。
僕の心を、捉えて離さなかった。
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