【夏希】
「春奈と一緒に……あの日々に戻りたい」
【春奈】
「お兄ちゃん……」
春奈は、それだけを言って。
僕を、見上げる。
僕も、彼女の顔を見る。
……春奈は、涙を浮かべていた。
その双眸に、雫を溜めている。
そして、今にもそれが溢れそうだ。
【春奈】
「……欲張りさんだね、お兄ちゃん」
【夏希】
「そうなのかもね。自分でも、びっくりしているよ」
【春奈】
「……でも、同じことを思っている私も、
きっと欲張りさんなんだね。私も、びっくりしているよ」
溢れる涙を、手で拭って。
春奈は、笑おうとする。
泣きながら、笑おうとする。
【夏希】
「春奈……」
僕は、彼女の目尻を拭う。
【春奈】
「あ……」
そして、彼女を抱きしめる。
ぎゅっと、彼女が離れないように。
強く、優しく。
【夏希】
「生きよう、春奈」
【夏希】
「生きて……また一緒に、この星空の下に戻ってくるんだ」
【春奈】
「……うん」
……ようやく。
ようやく僕等は、繋がりあった。
肉体を越える、心の繋がり。
完全なる、一体感。
それを僕は、確かに感じていた。
……この、星空の下。
僕等は、誓い合った。
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