「きゃっ!?」

何かの合図でもあったかのように、杏子と妖神は突然戦闘を開始した。

杏子が爪を振るい、妖神の胴体を切り裂く。

最初の一撃が、簡単に当たったことに、緑は思わず目を丸くしてしまった。

妖神
「――――――――――――――――――――――」

どんな動物の声とも違う声で、妖神が威嚇するように唸る。

胴体からは白濁液が染み出していて、まるで白い血のようだった。


「あれが……穢れ……」

御静屋で働いていた知識から、緑もだいぶ妖神のことが理解できるようになっていた。

特に、妖神の体内にある白い液体は、元を正せば穢れそのものに当たるらしかった。