保&湊太
「――――――――――――――――――――――」

湊太と保が唸るような声を出して、妖神に飛びかかって行った。

その速度は人間より遥かに速く、
まるで森の中を一陣の風が吹き抜けたかのようだった。


「……ッ!?」

速い。

目を凝らしているはずなのに、その姿さえ満足に追うことができない。

視界の悪い森の中だと言うのも理由として挙げられるが、
それ以上に保の動きがあまりにも人間離れしていた。

何かを斬り裂くような音がした瞬間、妖神の背中から濁った白い体液が噴き出す。

それが、保の攻撃であったことは、緑には認識できなかった。

どちらかと言えば、湊太の動きのほうが辛うじて確認することができていた。