杏子から荷物を受け取って、緑はそれを肩に提げた。

西の空に沈む夕日の光を浴びながら、杏子の隣に並んで歩いた。

海から吹く風は心地良く、気持ちを穏やかにしてくれる。

頬にかかった髪を掻き上げながら、緑は口を開いた。


「あの……本当にお疲れ様でした」

杏子
「ううん、それよりも……大丈夫だった?」


「あ、はい。船酔いとかは全然」

杏子
「ん……そういう事じゃなくて……」

杏子
「私のこと、怖くなかった?」


「それは……」