素早く体をを回転させるようにしながら、杏子の爪が妖神の鱗を引き裂いた。
海中に白いものが流れ出したが、それは血ではない。
妖神の中の穢れが、外側へと排出されている証だった。
妖神との戦いは、ただ単に鎮めれば良いと言うものではない。
鎮めた瞬間には妖神体内の穢れが撒き散らされるため、
それを回収しなければ、再び妖神が生まれてしまう可能性があるのだ
地上での戦いならば、それほど気を遣う必要はないのだが、
海中での戦いにおいては一番の難題になることが多かった。
妖神を鎮めた後、穢れ――直接的に表現してしまえば、
ゴミを回収しやすいポイントで戦うことが、海を担当する御子の仕事だった。