もちろん、母乳は出ていません。
 ですが、奈菜香さまの単調で
 しかしリズミカルなかけ声を聞くうちに、

 僕は、そのリズムに合わせて
 おっぱいを吸っていました。

 子守唄や童謡みたいなものでしょうか。
 リズムが単調だと、思考まで単調になるのか、

 とても、やすらぐ……。

【奈菜香】
「おっぱい、じょうず♪
 おっぱい、じょうず♪」

【薫子】
「おっぱい、じょうず♪
 おっぱい、じょうず♪」

【“たろ”】
「んぶ、んぶ、ちゅぶちゅぶ……
 んぶ、んぶ、ちゅぶちゅぶ……」

【“しろ”】
「んぶ、んぶ、ちゅぶちゅぶ……
 んぶ、んぶ、ちゅぶちゅぶ……」

 まるで本当の赤ん坊になって
 母親のおっぱいを吸ってるような――、

 そんな、薄怖くなるほどの『安らぎ』でした。

 一方、おむつの中の、その――

 ち○ちん、は……痛いくらいに勃起していました。

【女の子A】
「次、あたしー! あたしもやるー!」

【女の子B】
「だったら、あたしも……」

【奈菜香】
「はいはい、順番よ。
 あたしが疲れちゃったら交代だからね」

【奈菜香】
「おっぱい、じょうず♪
 おっぱい、じょうず♪」

【薫子】
「おっぱい、じょうず♪
 おっぱい、じょうず♪」

【女の子A】
「おっぱい、じょうず♪
 おっぱい、じょうず♪」

【女の子B】
「おっぱい、じょうず♪
 おっぱい、じょうず♪」

【“たろ”】
「んぷ、んぷ、ちゅぶちゅぶ……
 んぷ、んぷ、ちゅぶちゅぶ……」

【“しろ”】
「んぷ、んぷ、ちゅぶちゅぶ……
 んぷ、んぷ、ちゅぶちゅぶ……」

 唇には、乳首の感触。

 子守唄のように、単調に繰り返される
『じょうず、じょうず』の囃し言葉。

 手に持ったガラガラ。
 頭の上でコロコロと回るオルゴール。

 僕は、だんだんと

 僕は、だんだんと……

 頭の中まで
 本物の赤ちゃんになっていく……。