たまえ
「うぐっ……!?」
喉は、鞭で無慈悲に締め上げられ、こみ上げた胃液を圧し留める。
――それは、痛みを伴う圧迫感と併せ、酷い苦痛だろう。
鼎
「カナのお部屋、汚さないで?」
たまえ
「っひ、うぐ……! う、ぅうぅぅ……」
呻いてもがくたびに、鞭は首に食い込み、眼前がぼやけ、
嫌な耳鳴りが響き、頭皮までが痺れる程の圧迫感を与える。
たまえ
「うぐ、んんんんんんんんんっ!?
うえっ、んぐ……んんんっ!!」
鼎
「吐いちゃうほど、カナの事が嫌い?
それとも、触られるのが嫌?」
たまえ
「んっ!? んんんんんんっ!!」
呼吸までをも半ば奪われては、答えられる訳がないが、
表情には、ありありとそれが表れている。
感情とは別にある、芯からの拒絶。
心を壊した彼女が唯一深く感じる、感覚。
――いや、ある意味で救いなのかもしれない。
心根は、完膚なきまでに叩き潰されていないのだ。
それを知れるのが、泥濘に突き落とされるような苦悶であっても。
鼎
「だよねー!
カナも、オマエなんか大嫌いだよっ!」